「中国の干支も日本と同じ」だと思っていませんか?実は、中国の干支と日本の干支には決定的な違いがあります。
結論から言うと、日本の十二支の最後は「猪(イノシシ)」ですが、本場中国では「豚(ブタ)」になります。
干支(えと)は、単なる動物の占いではありません。紀元前より続く歴史ある暦(こよみ)であり、その起源には、神様が開催した「動物たちのレース」という有名な伝説が隠されています。
この記事では、中国語での呼び方から、それぞれの動物が持つ意味や性格、そして現代中国での役割まで、見やすい一覧形式とともに中国の干支のすべてを分かりやすく解説します。
本記事の要点
- 最大の違い: 日本の「イノシシ」は、中国では富の象徴である「豚」になる。
- 起源の伝説: 十二支の順番は、動物たちのレース(競走)によって決められた。
- 活用法: 現代でもビジネスの相性や結婚、春節(旧正月)の祝賀に深く根付いている。
中国における占星術と干支の歴史
中国の占星術や干支の歴史は、現代の雑誌にあるような占いコーナーから始まったわけではありません。その起源は、古代の皇帝の宮廷にまで遡ります。
紀元前2637年
創始の神話
伝説によると、黄帝(こうてい)が最初の暦を発明し、最初の60年周期(六十干支)を確立しました。これが中国の歴史における伝統的な「ゼロ地点」とされています。
紀元前4世紀
戦国時代・理論の確立
「五行説(木・火・土・金・水)」が発展し、占星術のシステムや伝統医学へと統合されました。
紀元前104年
漢王朝・体系化
武帝によって「太初暦(たいしょれき)」が制定されました。太陽と月の周期を組み合わせた、今日知られる暦システムがここで本格的に誕生します。
618年〜907年
唐王朝・十二支の普及
この文化的黄金期に、12種類の動物(干支)を生まれ年に関連付ける習慣が一般庶民にも広まりました。日本や韓国などの近隣諸国へ伝わったのもこの時期です。
1912年
現代の二重構造
中華民国の成立に伴い、行政用としてグレゴリオ暦(太陽暦)が正式に採用されました。しかし、伝統的なお祭り(春節など)や占星術においては、現在も旧暦(太陰暦)が大切に使われ続けています。
中国の干支とは?日本との最大の違いは「豚」

まず、最も基本的な疑問である「中国と日本の干支の違い」について解説します。一般的に私たちが「干支(えと)」と呼んでいる12種類の動物は、中国語で「十二生肖(じゅうにせいしょう)」と呼ばれるものです。
本来の「干支(かんし)」とは、以下の2つの要素を組み合わせた「六十干支(ろくじっかんし)」のことを指します。
- 十干(じっかん):甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸(10種類)
- 十二支(じゅうにし):子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥(12種類)
この10と12の組み合わせが60通りあり、一巡して元の暦に戻ることを、日本では「還暦(60歳)」と呼びます。
日本の十二支と中国の十二支は、11番目まではほぼ同じですが、最後の12番目だけが異なります。
- 中国:豚(ブタ)※中国語の漢字は「猪(zhū)」
- 日本:猪(イノシシ)
中国において「猪」という漢字は「ブタ」を意味し、昔から家畜として親しまれ、富や多産の象徴とされてきました。しかし、干支が日本に伝来した当時、日本には家畜としてのブタを飼育する習慣が定着しておらず、馴染みが薄かったのです。そのため、外見が似ており、狩猟の対象として身近だった野生の「イノシシ」に置き換えられたと考えられています。
中国語で「猪(zhū)」はブタを指しますが、イノシシは「野猪(yě zhū)」と書きます。中国の友人に「私の干支はイノシシです」と伝えたい場合は、中国文化に合わせて「私は豚年(属猪)です」と言うのが自然です。
中国の干支の歴史と起源は?
中国の干支の歴史は非常に古く、紀元前16世紀の殷(商)の時代にはすでに日付の記録に使用されていました。ここでは、誰もが知る伝説と、近年明らかになった史実の両面からその起源を解説します。
伝説のレース:ねずみの知恵と猫の不在
最も有名な干支の起源は、神様(玉帝や釈迦とされる)が開催した「動物選抜レース」の物語です。あらすじは、神様が「元旦に挨拶に来た動物を、先着順で12番目までその年の大将にする」とお触れを出したというもの。
- ねずみの計略:足の遅いウシは早めに出発しましたが、ちゃっかり者のネズミはウシの背中に飛び乗って移動しました。
- ゴールの瞬間:神様の御殿の門が開いた瞬間、ネズミはウシの背中から飛び降りて1位を獲得。ウシは2位となりました。
- 猫がいない理由:ネズミはライバルの猫に「集合日は1月2日だ」と嘘を教えました。そのため猫はレースに参加できず、十二支に入れなかったのです。これ以来、猫はネズミを恨んで追いかけ回すようになったと言われています。
犬と猿の仲が悪いのも、レース中に喧嘩をしてしまい、その間に入った鶏(トリ)が仲裁したため、申・酉・戌の順番になったという説もあります。
考古学的発見:かつて午は「鹿」だった?
伝説とは別に、考古学的な発見からも干支の変遷が明らかになっています。1975年に発見された「睡虎地秦簡(すいこちしんかん)」(紀元前3世紀頃)の記録によると、当時の干支には現在とは異なる動物が含まれていました。
- 午(うま):当時は「鹿」
- 戌(いぬ):当時は「老羊」
- 未(ひつじ):当時は「馬」
このように、初期の干支は固定されたものではなく、時代とともに農耕社会にとって身近で重要な「六畜(馬・牛・羊・鶏・犬・豚)」を中心とした現在の形へと変化していったと考えられます。
【一覧】中国の干支の意味と動物ごとの性格傾向

中国では、生まれ年の干支がその人の性格や運命に影響を与えると信じられています。自分の干支がどのような意味を持つのか、一覧で確認してみましょう。
十二支それぞれの動物と性格傾向
十二支ごとの動物と性格傾向は、以下の通りです。
| 動物 | 中国語 | 性格・意味 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 子(ネズミ) | 鼠 (Shǔ) | 適応力・知恵 頭が良く、環境適応能力が高い。好奇心旺盛。 |
| 2 | 丑(ウシ) | 牛 (Niú) | 勤勉・忍耐 慎重で誠実、忍耐強い。大器晩成型。 |
| 3 | 寅(トラ) | 虎 (Hǔ) | 勇敢・権威 決断力があるリーダータイプ。独断専行な面も。 |
| 4 | 卯(ウサギ) | 兔 (Tù) | 温厚・慎重 礼儀正しく平和を好む。繊細な一面がある。 |
| 5 | 辰(リュウ) | 龙 (Lóng) | カリスマ・自信 高貴な象徴。自信家で理想が高い。 |
| 6 | 巳(ヘビ) | 蛇 (Shé) | 知性・神秘 冷静沈着で知的。嫉妬深いとも言われる。 |
| 7 | 午(ウマ) | 马 (Mǎ) | 自由・行動力 明るく行動的。熱しやすく冷めやすい。 |
| 8 | 未(ヒツジ) | 羊 (Yáng) | 穏やか・協調 思慮深く親切。内面に強い芯を持つ。 |
| 9 | 申(サル) | 猴 (Hóu) | 器用・ユーモア 多才で頭の回転が速い。競争心が強い。 |
| 10 | 酉(トリ) | 鸡 (Jī) | 勤勉・先見 おしゃれで反応が早い。先見の明がある。 |
| 11 | 戌(イヌ) | 狗 (Gǒu) | 忠誠・正義 正直で忠誠心が強い。周囲から信頼される。 |
| 12 | 亥(ブタ) | 猪 (Zhū) | 誠実・無病息災 目標へ突き進むエネルギー。楽天家。 |
あなたの干支はどれ?生まれ年早見表
春節(旧正月)を基準にするため、1月・2月生まれの方は注意が必要です。
| 西暦 | 干支 |
|---|---|
| 2020年 | 子(ネズミ) |
| 2021年 | 丑(ウシ) |
| 2022年 | 寅(トラ) |
| 2023年 | 卯(ウサギ) |
| 2024年 | 辰(リュウ) |
| 2025年 | 巳(ヘビ) |
| 2026年 | 午(ウマ) |
ご自身の干支が持つ詳細な性格的特徴や、他の干支との相性診断、運勢などについてのより詳しい情報は、干支(十二支)でわかる性格や特徴の記事をご覧ください。
干支の切り替わりは「春節」です。日本では1月1日に干支が変わりますが、中国では旧暦の新年(春節:毎年1月下旬〜2月中旬の間で変動)で切り替わります。例えば、2024年1月1日生まれの人は、日本では辰年ですが、中国では春節前なので「卯(ウサギ)年」となります。
陰陽五行説で見る運勢とは?

干支占いによる相性や運勢は、単なる動物の好き嫌いではなく、古代中国の哲学「陰陽五行説(木・火・土・金・水)」の相互作用に基づいています。
相性が良い「三合」と「六合」
中国占星術では、特定の干支同士が協力することで運気が高まるとされています。
- 三合(San He):12の干支を正三角形で結んだ最強のチームです。協力し合うことで大きな力を発揮します。
水局:子・辰・申
金局: 丑・巳・酉
火局:寅・午・戌
木局: 卯・未・亥 - 六合(Liu He):互いに補完し合う「ベストパートナー」のペアです。(例:子と丑、寅と亥)
逆に、円形の配置で正反対に位置する干支(例:子と午)は「冲(Chong)」と呼ばれ、衝突や対立を意味し、相性が悪いとされています。
生年月日で決まる「四柱推命(八字)」
より本格的な運勢鑑定では、生まれた「年」の干支だけでなく、「月」「日」「時」の4つの柱(四柱)すべての干支を見ます。これは「八字(Bazi)」と呼ばれるものです。自分の五行(木火土金水)のバランスを分析し、足りない要素を補うことで運を開くという考え方です。
現代の中国でも重視される干支

現代のハイテクな中国社会においても、干支は迷信にとどまらず、経済や人々の意思決定に大きな影響を与えています。
出生数が急増?「辰年(ドラゴン)」の社会的影響
「辰(龍)」は中国で皇帝の象徴であり、最も縁起が良い干支とされています。実際、2024年(辰年)は「龍の子(ドラゴン・ベビー)を産みたい」という親たちの願いから、中国の出生数が前年比52万人増の954万人となり、8年ぶりに増加に転じました。
ビジネスや相性で活用される中国の干支
中国の干支は、ビジネスや人間同士の相性でも活用されています。
- コミュニケーション: 初対面で「あなたの干支は何ですか?(你属什么?)」と聞くのは、相手の年齢を直接聞かずに推測する、スマートな会話術として定着しています。
- 相性診断(結婚・ビジネス): 結婚相手との相性や結婚式の日取り、あるいはビジネスパートナーや従業員を選ぶ際に、密かに「三合」や「六合」などの相性が参考にされることもあります。
- ラグジュアリー市場: ルイ・ヴィトンやFENDIなどの高級ブランドも、春節には干支限定コレクションを発表し、巨大な中国市場へアプローチしています。
まとめ
中国の干支には日本と異なる「豚」が登場したり、春節で年が切り替わったりする独自の文化があります。
こうした中国の干支の歴史や起源、それぞれの動物に込められた意味を理解することは、中国語圏の人々と深いコミュニケーションをとるための第一歩です。ビジネスや日常会話で「あなたの干支は?」と尋ねることで、相手との距離も縮まるかも!
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AIで要約









