Chapters
- 01. アラビア語に対する先入観を捨てよう
- 02. アラビア語習得の障壁は相対的なものである
- 03. アラビア語習得の難しさを考える
「文法や綴り、活用などを伴う新しい言語を学ぶなんて不可能」と考える人がいます。一方で、「新しい言語を学ぶことで、視野が広がり新しい知識が増え、世界の異なる文化や地域について知ることができる」と考える人もいます。
「新しい言語を学ばない」言い訳として良く聞かれるのは、言語習得の難しさでしょう。多くの人々が学校でがうまく第二言語を学べなかった経験から、新しい言語を学ぶことに対して積極的になれないでいます。
皆、その場しのぎ的にすぐ習得してしまいたいという思いがあり、30日でアラビア語をマスターできると提案する人もいます。ただし、アラビア語という歴史ある言語を学ぶには忍耐が必要です。アラビア語の習得には、努力し、熱心に取り組むことが必要です。
では、アラビア語の習得は、実際にはどのようなものなのでしょうか?
習得は本当に難しいのでしょうか?
アラビア語に対する先入観を捨てよう
アラビア語を学ぶのは難しいのか?という質問の答えは「はい」であり、「いいえ」でもあります。新しい言語を学ぶにはどんな場合も、多くの時間と労力が必要とされます。
他の多くの言語と同じく、アラビア語を学ぶのにも時間と決意、定期的な学習、多くの忍耐力が必要です。
しかし、アラビア語はセム語派に属すため、英語やフランス語よりもずっと多くの一定のパターンに従っています。ですから、もしかしたらドイツ語やラテン語を学ぶより簡単かもしれません。
街角で、「習得が一番難しい言語は?」というインタビューをすれば、ポーランド語やアイスランド語、アラビア語などという答えが返ってくるかもしれません。
これらの言語は、日本語とはだいぶ異なるため習得が難しいという概念があるからでしょう。しかし、難しそうに見えるアラビア語も、開かれた心で時間をかけて取り組めば、習得は不可能ではないのです。
アラビア語習得の障壁は相対的なものである
客観的に見て、ある言語の習得が他の言語よりも難しい、あるいは簡単だと考えるのは、筋が通っていません。
それは、一人ひとりの見方や意見、モチベーションや言語習得に対する決意の度合いによって難易度が変わってくるからです。定期的に学習し、一週間に最低一度はアラビア語の文法の規則に取り組めば、次第に学習が楽になっていきます。
異なる動詞や名詞、形容詞など、ベースとなる語彙を学ぶ時間をとりましょう。その知識が、ビギナーのアラビア語の基礎を形成していってくれるからです。アラビア語の文字を書き、発音を良くすることも後から必要になりますが、まずはこの基礎を築くことが大切です。
そうすることで、アラビア語を習い始めたばかりの頃になかなか進歩しないという障壁を取り払うことができます。単語とフレーズの語彙力がつくと、同時に自信がついていきます。語彙の土台が広がり、進歩を確実に感じられます。新しい言語を学ぶのであれば、習い始めで諦めることのないようこういった方法を取り入れましょう!
壁は大きく見えるもの
当然ながら、構造や文法、発音のどれをとっても、アラビア語は日本語とほとんど共通点がありません。しかし、これはアラビア語を学ばない理由にはなりません。
アラビア語習いたての初期は、いくつかの壁にぶつかるでしょうが、どんな教科を学ぶにしろ、これは普通のことです。粘り強く続けることで、大変な挑戦のように見えていた課題も、徐々に実現可能なものへと変化していきます。

アラビア語の環境に浸り、持っている力を全て発揮していけば、以前は理解不可能に思えていた内容もだんだんわかるようになり、なぜ苦戦していたのかを不思議に思うほどになるでしょう。
アラビア語を学ぶ数多くのメリットも、感じられるようになります。そして、今の世界に大きな影響を与えてきた素晴らしいアラビア文化について多角的に知ることができ、誰よりも深い理解ができるようになることでしょう。
細かなルールにとらわれない
私たちは気付かぬうちに、日本語でたくさんのイディオムや決まり文句を使っています。
ある言語の母語話者は、その言語の難しさを客観的に評価しにくいものです。
ですから、アラビア語のクラスを簡単だと感じる人もいれば、難しすぎると感じる人もいます。
アラビア語を本当に学んでみたいのか検討するため、人に聞いたり、情報を検索したりしてみましょう。学ぶことにしたら、目標を達成させるための手順はいくつも見つかるはずです。
大事なのは、言語習得は楽しくあるべきという考え方です。アラビア語のライティングにおける文法の複雑さに直面し、学習をストップするなどということのないようにしましょう。ビギナーの場合、会話で使われるアラビア語の単語やフレーズに集中的に取り組みましょう。
アラビア語を学ぶには、オンラインでたくさんのリソースが見つかりますし、その多くが無料で公開されています。さらに、手頃なアラビア語のクラスも提供されるようになっています。
アラビア語習得の難しさを考える
方言も含めると、現在世界では7000語以上の言葉が話されています。ですから、どの言語の習得が最も難しいのかを分析評価するのは大変なことです。
アフリカの言語は、文法が非常に難しいことで知られていますが、習得が最も難しい言語として数えられることはあまりありません。

では、アラビア語のような言語が難しいかどうかは、どう判断したら良いのでしょうか?
このことを判断するには、以下のような客観的な基準を用いることができます。
アラビア語習得にかかる時間は?
これは、なかなか難しい質問です。学習者一人ひとりがアラビア語学習に費やせる時間や労力にもよりますし、これまでの言語学習経験や指導の質、教室外でアラビア語に触れるチャンスなどによっても変わってきます。習得に対する姿勢やモチベーションも、アラビア語習得にかかる時間に大きく関係してきます。
しかし、US Foreign Service Institute (FSI)は、英語話者を対象とした外国語習得難易度表を発表しており、アラビア語を「グループ4」の言語に分類しています。FSIの研究によると、アラビア語を基礎的なレベルで流暢に話せる(社交的な状況や職場の要件について話せる)ようになるには、おおよそ720時間かかるとされています。このレベルに達するまでにかかる時間が480時間とされているフランス語やドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、スペイン語といったグループ1の言語とは対照的です。
ですから、アラビア語を学ぶことを決めたらしっかりと専念し、使えるリソースやオンラインのコンテンツを全て使い、習得を成功させていきましょう。
母国語との共通点の多さ
ある言語の習得が難しいのかを検討するのに有効なのは、自分の母国語とどの程度異なっているかを知ることです。
例えば、日本語を母語とする私たちの場合、共通の文字を持つ中国語などは、ロシア語やドイツ語といった言語より簡単そうに感じられるでしょう。
一方、英語を母語とする人にとっては、全く異なる体系の日本語を学ぶより、同じインド・ヨーロッパ語族に属すスペイン語の方を学ぶ方が楽だと思えるはずです。

実は、スペイン語にはイントネーションは異なりますが、アラビア語と似ている単語が多くあります。これは、アラブ人がイベリア半島にいた期間が長く続いたことが影響しています。
英語話者がフランス語を学ぶのは簡単に感じられます。というのは、英語の単語はフランス語に由来しているものが多いからです。しかし、発音はとても異なるので、その点が課題となります。
全般的に言って、母国語との共通点が少ないほど、その言語を学ぶ難易度は上がると言えるでしょう。
音に共通点はあるか?
一般的に、母国語と、学びたい言語に、似た発音が含まれている場合、その言語を学ぶのが簡単に感じられます。
アラビア語と日本語で(偶然?!の)似ている言葉というのはあるようですが、多くはありません。
ある調査によると、ヨーロッパの言語の中でイタリア語が最も美しい言語とされていますが、これは、イタリア語の発音の多くが他の多くのヨーロッパ言語にも存在していることが理由かもしれません。
私たちは音への慣れ親しんだ感覚により、「イタリア語は美しく、学ぶのが簡単だ」と考えるのでしょう。
アラビア語の場合、特に母音はほとんど発音されないため、同じような発音の他の言語を見つけるのは難しくなっています。
アラビア語のアルファベットは似たような28の文字から成りますが、アメリカや日本、ヨーロッパで使われる文字とはほとんど似た部分がありません。1つの文字の形が、言葉のどこに使われるかによって変わるというのも、アラビア語特有の性質です。
複雑な文法構造
アラビア語は世界の4億人以上の人々に話されています。
しかし、アラビア語にはたくさんの言語変種があるのも事実です。特に、書き言葉(文語)と話し言葉(方言)の間には様々な変種があります。
口語アラビア語を学びたい場合は必要はありませんが、言語の構造をしっかり理解したい場合や悪い癖をつけないためには、文語アラビア語を学ぶことはスタート地点として有効でしょう。
一方で口語のアラビア語は、文語とはだいぶ異なります。基本的には、アラビア語圏の国ではそれぞれに地方の方言ができており、それぞれに固有の語彙や表現文法が使われています。
モロッコに住むのであれば、チュニジアやエジプトで話されるアラビア語や、アラブ首長国連邦出身の人のアラビア語を理解できることは期待されません。
アラビア語を話せるようになりたいのであれば、その方言について検討し、自分が学びたいアラビア語のニーズに合った先生とリソースを見つけるようにしましょう。
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複雑な文字使い
大半の西洋の言語にはラテン文字が使われているため、英語のアルファベットの文字は容易に理解できます。
アラビア語の場合はなかなか厄介です。アラビア語には全部で28文字ありますが、文のどこに使われるかによって、その文字自体が変化するのです。

単語の最初、中間、終わりのどこに使われるかによって、同じ文字でも全く違う意味になります。
また、左から右に読むのではなく、逆方向に読むことにも慣れなければなりません。上から下、または、左から右方向に読むことに慣れている日本人には、なかなか大変かもしれません。
馴染みのない3つの音
最後に、発音とリーディングはアラビア語習得の大きな課題の一つです。アラビア語にはほとんどの西洋の言語に存在しない3つの音があり、数字3、7、9を伴って表記されます。
他の言語にはほとんどない音なので、習得も難しいと考えられます。
喉の奥から出す「qu」の音、荒い「h」と、最後に「ai」のように聞こえる「h」の音です。
これらのアラビア語特有の要素を理解できるようになったら、あとは、他の言語と同じように学んでいくことができます。
アラビア語をマスターするには、綴りや文法を時間をかけて勉強する必要があり、専念して一生懸命取り組まなければなりません。
アラビア語は一度始めて、すぐに習得できる言語ではありません。本当にアラビア語を話したり、書いたりできるようになるには、多くのコミットメントと努力が求められます。
また、広範な種類のリソースを活用する必要もあります。標準アラビア語を学びたい場合は特に、日本語-アラビア語の辞書を探してみましょう。また、スマホのアプリにも、学んだ知識を使って練習できるものがありますから、通学や通勤の途中で利用してみるといいでしょう。
ただ、アラビア語のコースを受講するのは、アラビア語習得の最善の方法かもしれません。ランゲージスクールで開講されているアラビア語初級コースや、アラビア語ネイティブの先生による個別指導もあります。また、モチベーションが高いなら、インターネットでアラビア語習得のオンラインコースにトライしてみてもいいでしょう。
アラビア語を習い始めたばかりのときは、見通しがないように感じられるかもしれませんが、一生懸命取り組み、アラビア語話者と少し会話練習をして続ければ、確実に上達していくはずです。
使えるツールやリソースを活用すれば、スピーディーに上達し、私たちが今住むこの世界に影響を与えるアラビア語と文化の魅惑的な歴史を、知ることにもなるでしょう。
アラビア語を学ぶのに行くことのできる場所は一つではありません。アラビア語はたくさんの国々で話されているからです。チュニジア、モロッコ、エジプト、ヨルダン、レバノンなどの中から選び、何千年にもわたり進化してきたアラビア語を学びましょう。アラビア語を迅速に学びたいなら、それが一番の方法です。
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