「絵画の種類」と一口に言っても、油絵や水彩画のような技法、風景画や肖像画といったジャンル、印象派などのスタイルまで分け方はさまざまです。
結論から言うと、絵画は主に「技法・画材」「題材・ジャンル」「様式・スタイル」「オリジナリティ(原画・版画・複製画)」の4つの視点で整理できます。本記事を読み進めれば各分類の代表的な種類はもちろん、西洋絵画のジャンルやモダンテクニックの12種類まで、まとめて理解できます。
また、記事の最後にはマンツーマンで効率よく絵画を学べる「Superprof(スーパープロフ)」も紹介します。
絵画の種類は?4つの分類軸
La pittura è una poesia che si vede e non si sente, e la poesia è una pittura che si sente e non si vede.
絵画とは、感じるよりも見る詩であり、詩とは、見るよりも感じる絵画である。 by レオナルド・ダ・ヴィンチ『絵画論(Trattato della pittura)』
絵画の種類は技法・画材、題材(ジャンル)、様式(スタイル)、そして原画か複製かというオリジナリティ、この4つの視点で分けられます。
同じ「絵」でも「何で描くか・何を描くか・どんな思想で描くか」によって呼び名は変わります。言いかえれば、この4つのものさしさえ持っておけば、はじめて見る作品でも「どの種類か」を自分で見当づけられるということです。美術館の解説や画材店の棚も、たいていはこのどれかに沿って並んでいます。まずは全体像を、次の表で押さえておきましょう。
| 分類軸 | 着目点 | 主な種類 |
|---|---|---|
| 技法・画材 | どう描くか | 油絵・水彩画・アクリル画・日本画・版画 |
| 題材・ジャンル | 何を描くか | 風景画・肖像画・静物画・歴史画 |
| 様式・スタイル | どんな表現か | 印象派・写実主義・キュビスム |
| オリジナリティ | 一点か複製か | 原画・版画・複製画 |
絵画の種類一覧
絵画の種類をさらに細かく確認していきましょう。
技法・画材別
もっとも身近なのが、絵の具や描画材による分け方です。代表的な技法には、次のようなものがあります。
油絵

顔料を乾性油で練った絵の具を重ねる技法。起源は7世紀までさかのぼり、15世紀にファン・エイクらが大成して西洋へ広まりました。
乾きが遅い分、深い色と豊かな質感を出せます。
水彩画

水で溶く絵の具で、透明感のあるにじみやぼかしを楽しむ技法。
乾きが速く後片づけも簡単なので、趣味の第一歩に選ばれます。
アクリル画

合成樹脂を展色材にした水性絵の具で描く技法。画家向けの水性アクリルは1955年に登場し、ウォーホルらが好んで用いました。
油絵風にも水彩風にも仕上げられます。
日本画・水墨画

岩絵の具などを膠(にかわ)で溶き、和紙や絹に描く様式。
「日本画」という語は明治期に洋画と区別するために生まれました。墨の濃淡だけで描く水墨画とともに、日本美術を代表します。
版画

版に絵の具をのせ紙へ写し取る技法。
凸版(木版)、凹版(銅版・エッチング)、平版(リトグラフ)、孔版(シルクスクリーン)の4種類に分かれます。
パステル画・ペン画

乾いた顔料の棒で描くパステル画はやわらかな色合いが、線を重ねるペン画は細密でシャープな描写が持ち味です。
デジタル絵画

パソコンやタブレットで描く技法。
何度でもやり直しがきき、近年もっとも裾野が広がっています。
題材・ジャンル別
「何を描くか」に注目した分け方が「ジャンル」です。西洋では長らく、主題ごとに格付けがありました。17世紀後半のフランスでは、批評家フェリビアンがジャンルの序列を体系化しています。上から歴史画、肖像画、風俗画、風景画、静物画の順で、物語性が高い主題ほど格上とされ、この序列はその後の西洋絵画に長く影響を残しました。主なジャンルは、次のとおりです。

- 歴史画・宗教画: 神話や聖書、歴史上の出来事を描く。多くの人物を一つの構図にまとめる力が求められ、かつては最上位に置かれました。
- 肖像画・人物画: 特定の人物の姿や内面を写し取る。表情やしぐさから、その人らしさがにじみ出ます。
- 風俗画: 市井の人々の暮らしや働く姿を描く。何気ない日常に、時代の空気が刻まれます。
- 風景画: 自然や街並みをとらえる。光や季節の移ろいそのものが主役になります。
- 静物画・博物画: 花や果物など静止した事物を描くのが静物画、動植物を精密に記録するのが博物画です。
洋式・スタイル別
A picture is nothing but a bridge between the soul of the artist and that of the spectator.
絵画とは、画家の魂と鑑賞者の魂とを結ぶ架け橋にほかならない。by ウジェーヌ・ドラクロワ『日記(Journal)』
同じ題材でも、時代や思想によって描き方は大きく変わります。ここでは代表的なスタイルを、分類として整理します。各様式は、西洋美術史の大きな流れのなかで移り変わってきました。
- 印象派・ポスト印象派: 戸外で光と色をとらえたのが印象派で、モネが代表格。これを土台に、より主観的な表現へ進んだのがポスト印象派で、ゴッホやセザンヌといった有名な画家が名を連ねます。
- 写実主義・自然主義: 理想化を避け、現実をありのままに描く様式。クールベが先頭に立ち、絵画に新しい誠実さを持ち込みました。
- ロマン主義・新古典主義: 古代の秩序と均整を手本にしたのが新古典主義、感情や劇性を押し出したのがロマン主義。19世紀前半に、対をなすように展開しました。
- キュビスム・抽象絵画: ピカソとブラックが1907年ごろに始めたキュビスムは、対象を複数の視点から幾何学的な面へ分解。やがて具体的な形を離れ、抽象絵画へつながります。
- ポップアート・現代アート: 広告や漫画など大衆文化のイメージを取り込む様式。ウォーホルらが牽引し、多彩な現代アートへ道を開きました。
オリジナリティ別
同じ作品でも、「世界に一点だけか、複数刷られたものか」で種類が分かれます。手描きか印刷か、部数はどれくらいかによって、希少性や価値も変わってきます。
- 原画: 作家が直接筆をとった、ただ一点だけの作品。二つとない存在なので希少性が高く、そのぶん価値もつきやすい種類です。
- オリジナル版画: 作家の意図のもとに、限られた部数だけ刷られる作品。多くはサインと通し番号(エディション)が入り、真作であることが示されます。
- 複製画・ジークレー: 原画を印刷で再現したもの。なかでもジークレーは、1991年に名づけられた顔料インクによる高品質なインクジェット印刷を指し、原画に近い風合いを楽しめます。
モダンテクニック12種類|現代アートの技法
近代以降には、筆で描く以外の実験的な技法が数多く生まれました。写真の登場で「ただ写す」役割が絵画から薄れると、画家たちは絵の具そのものの動きや、偶然が生む効果へと関心を広げていったのです。 ここでは代表的な12種類を、手法ごとに4つのグループへ整理します。ちなみに「12種類」は絶対ではなく、参照する資料によって多少入れ替わります。
- 貼る・組み合わせる: 紙や布を貼る「コラージュ」、立体物を組む「アッサンブラージュ」、素材を混在させる「ミクストメディア」。キュビスムのピカソらが先駆けでした。
- 流す・叩きつける: 絵の具を滴らせる「ドリッピング」、全身で描く「ジェスチャー・ペインティング」、液体を流し込む「フルイドアート」。床置きの画面へ絵の具を落とすポロックが知られています。
- こする・削る・写す: 凹凸を擦り取る「フロッタージュ」、乾く前の絵の具を掻き落とす「グラッタージュ」、転写で偶然の模様を生む「デカルコマニー」。前の2つはエルンストが1920年代に確立しました。
- 偶然と観念: 手の動きに任せる「オートマティスム」、写真を切り貼りする「フォトモンタージュ」、既製品を作品とみなす「レディメイド」。デュシャンが1913年に示した発想が起点です。
自分に合う絵画の種類の選び方
種類がわかったら、次は「どれから描くか」です。目的や手軽さを軸にすると迷わず選べます。まずは、水彩画の道具からそろえると気軽に始められますし、乾きの速いアクリル画も扱いやすさで根強い人気があります。「写実的に描きたいのか」、「抽象で自由に遊びたいのか」、憧れの作風に近い技法を選べば、上達の実感も得やすくなるでしょう。

迷ったときは、飾りたい場所や好きな色合いから逆算するのも一つの手です。
落ち着いた空間には水墨画やパステル画、明るく元気な部屋にはアクリル画やポップな作風、といった具合に、暮らしとの相性で決めても失敗しにくくなります。
独学で行きづまったら、講師に習うのも近道です。
同じモチーフを2つの技法で描き比べてみると、自分に合う画材が驚くほどはっきり見えてきます。
「描いてみたい」と感じた今こそが、始めどきです。世界中で使われている講師マッチングのSuperprof(スーパープロフ)なら、油絵から水彩画、日本画まで、目的に合った先生が見つかります。
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まとめ
絵画の種類は、技法・画材、題材(ジャンル)、様式(スタイル)、オリジナリティという4つの視点で整理すると、驚くほどすっきり見えてきます。油絵や水彩画といった技法、風景画や肖像画などのジャンル、印象派をはじめとする絵画のスタイルは、それぞれ「どう描くか・何を描くか・どんな思想で描くか」という別々のものさしで捉えたものです。だからこそ、一つの作品を複数の軸から言い表せますし、分類が重なっても矛盾はしません。
こうしたものさしを持つと、美術館での鑑賞も、自分で描くときの一歩も、これまで以上に楽しくなるはずです。「この絵は何ジャンルだろう」「どの様式に近いだろう」と考えるだけで、一枚の絵から受け取れる情報はぐっと増えます。技法から入っても、好きな画家の様式からたどっても構いません。一つの分類を入り口にすれば、そこから自然に別の種類へと興味が広がっていくはずです。
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