ポルトガル語を使う国は、ブラジルやポルトガルを含めて世界に9か国。「ポルトガル語=ブラジルの言葉」というイメージが強く、ほかにどこで話されているのかは意外と知られていません。実際にはヨーロッパ・南米・アフリカ・アジアの4大陸に広がり、公用語とする国は9か国にのぼります。
話者数は世界でおよそ8番目に多く、複数の大陸で使われる数少ない言語の一つです。日本国内でもブラジル出身の人々を中心に需要があり、思っている以上に身近な言語です。この記事では、ポルトガル語を使う国を地域別に整理し、話者数の規模や将来性、スペイン語との比較までわかりやすく解説します。
ポルトガル語を使う国は?公用語の9か国
ポルトガル語を使う国は、世界に9か国あります。ブラジルやポルトガルを思い浮かべる方が多いものの、実際の使用範囲はヨーロッパ・南米・アフリカ・アジアの4大陸に広がっています。ただし公用語に定めていても、国民の全員が日常的に話すとは限りません。
| 国名 | 地域 | 公用語としての位置づけ |
|---|---|---|
| ポルトガル | ヨーロッパ | 単独の公用語 |
| ブラジル | 南米 | 単独の公用語 |
| アンゴラ | アフリカ | 単独の公用語 |
| モザンビーク | アフリカ | 単独の公用語 |
| カーボベルデ | アフリカ | 日常はクレオール語が中心 |
| ギニアビサウ | アフリカ | 日常はクレオール語が中心 |
| サントメ・プリンシペ | アフリカ | 単独の公用語 |
| 東ティモール | アジア | テトゥン語と並ぶ公用語 |
| 赤道ギニア | アフリカ | スペイン語などと並ぶ公用語 |
ブラジルやポルトガルでは国民の約97%が日常的に使う一方、国によっては公用語でも実際の話者がごく一部にとどまります。法的な地位と普及度は分けて捉えると整理しやすくなります。
まずは、ポルトガル語を公用語とする9か国を地域別に確認しましょう。
南米・ヨーロッパのポルトガル語圏
発祥国のポルトガルより多い
ポルトガル語の中心となるのは、発祥地のヨーロッパと、最大の話者を抱える南米です。この2地域だけで、世界の話者の大半を占めています。
発祥国のポルトガルは、人口こそ約1,000万人ですが、現在のポルトガル語の土台をつくった国です。一方の南米では、ブラジルが唯一のポルトガル語圏となります。周囲の多くがスペイン語圏であるなか、ブラジルだけが約2億人規模の話者数です。
アフリカのポルトガル語圏
数のうえで最も多いのが、アフリカのポルトガル語圏です。アンゴラ、モザンビーク、カーボベルデ、ギニアビサウ、サントメ・プリンシペ、赤道ギニアの6か国が、公用語に採用しています。
なかでも赤道ギニアは、もともとスペイン語が主要言語ですが、2007年にポルトガル語を公用語へ加えました。カーボベルデやギニアビサウのように、日常会話は現地のクレオール語が中心で、ポルトガル語は教育や行政で使われる国も少なくありません。
これらの国でポルトガル語が広まった経緯を詳しく知りたい人は、ポルトガル語の歴史を学んでみてください。
アジアのポルトガル語圏
アジアにもポルトガル語圏があります。代表が、2002年に独立した東ティモールです。
東ティモールは、テトゥン語とポルトガル語を併用しています。母語とする人は1%にも満たないものの、学校教育での再導入が進み、若い世代を中心に理解できる人が増えてきました。このほか中国のマカオ特別行政区も、中国語と並んでポルトガル語を公用語と定めています。
ポルトガル語が公用語の国|話者数ランキング

世界でおおよそ8番目に多い
ポルトガル語の話者数は世界でおよそ8番目に多く、母語話者は約2億5,000万人とされます。最大の特徴は、その分布が一国に大きく偏っている点です。(※順位は年や統計によって多少前後します。)
ポルトガル語人口の約8割を占めるのが、ブラジルです。話者数で見れば、この言語はほぼブラジルが支えているといえます。同じポルトガル語でも、発音や語彙に関してはブラジルと欧州で違いがあります。
ブラジルに次ぐのは、アフリカのアンゴラとモザンビークです。アフリカの人口増を背景に、両国の存在感は年々高まっています。
国・地域別のおおよその割合を、下の表にまとめました。
| 国・地域 | 話者全体に占める割合 | 補足 |
|---|---|---|
| ブラジル | 約78% | 世界最大のポルトガル語人口 |
| アンゴラ | 約10% | アフリカで最大の話者数 |
| モザンビーク | 約7% | アンゴラに次ぐ規模 |
| ポルトガル | 約4% | 発祥国ですが人口規模は大きくありません |
| その他 | 約1% | 移民やアジアなどの合計 |
公用語以外でポルトガル語が使われる国・地域
公用語ではない国や地域でも、ポルトガル語はどこで話されているのでしょうか。移民の移動や歴史的なつながりによって、世界各地に話者のコミュニティが生まれています。
移民コミュニティが支える地域

ヨーロッパには、ポルトガルからの移民が築いた話者コミュニティが点在します。ルクセンブルクでは人口の約2割が母語とし、フランスやスイス、アメリカ合衆国にも大きなコミュニティが根づきました。
こうした移民は、言葉だけでなく暮らしや食の文化も一緒に持ち込みます。たとえばブラジル系の人々が受け継ぐブラジルの食文化を知れば、言語の背景にある生活そのものが見えてくるでしょう。
マカオ・国境地帯などの特殊な地域
特殊な立ち位置にあるのが、中国のマカオです。第一言語とする住民はごくわずかですが、中国とポルトガル語圏を結ぶ経済や交流の窓口として、公的な場面での地位が保たれています。
南米の国境地帯も見逃せません。ブラジルと接するウルグアイ国境では、ポルトガル語とスペイン語が混ざった「ポルトニョール」が話されています。パラグアイにも、ブラジル系移民が定住する地域が広がっています。
ポルトガル語の需要と将来性
ポルトガル語の需要は、世界でも日本国内でも安定して見込まれています。将来の話者数も、増加が予測される数少ない主要言語の一つです。
経済成長と人口増で広がる将来性
将来性を押し上げているのは、アフリカの人口増加です。アンゴラやモザンビークの伸びを背景に、ポルトガル語の話者は今後さらに拡大すると見込まれています。
経済面でも追い風があります。EUと南米南部共同市場(メルコスール)の自由貿易協定は、2026年5月1日から暫定適用が始まりました。欧州とブラジルなどを結ぶ貿易の活発化は、ポルトガル語人材の価値を高める要因になります。ブラジルの音楽に代表される文化的な発信力も、この言語の世界的な存在感を後押ししています。
日本国内でも高まるポルトガル語の需要

日本に暮らす私たちにとっても、ポルトガル語は身近な言語です。中長期在留するブラジル国籍の人は約21万人にのぼり、国籍別で6番目に多い水準となっています。(2024年末の時点)
特に愛知県をはじめとする東海地方には、ブラジル出身者が多く暮らす地域があります。そのため教育現場や自治体、製造・流通の現場では、ポルトガル語に通じた通訳やサポート人材の需要が続いています。日本は2014年からポルトガル語圏諸国共同体(CPLP)にオブザーバーとして参加しており、官民での関わりも深まってきました。
ポルトガル語とスペイン語はどっちが多い?
ポルトガル語とよく比較されるのが、隣のスペイン語です。話者数で見ると、スペイン語のほうが大きく上回ります。スペイン語の母語話者は約4億8,000万人で世界2位、ポルトガル語は約2億5,000万人です。
つまり母語話者では、スペイン語がポルトガル語のおよそ2倍にあたります。それでもポルトガル語が、複数の大陸で使われる主要言語であることに変わりはありません。
母語話者数:約4億8,000万人。中国語に次ぐ規模で、ラテン系言語では最大。
世界順位(母語話者数):世界2位
主な使用地域:スペインと中南米の約20か国に加え、アメリカ合衆国の一部。南北アメリカとヨーロッパに集中している。
母語話者数:約2億5,000万人。スペイン語のおよそ半分。
世界順位(母語話者数):世界8番目前後
主な使用地域:ブラジルを中心に、ポルトガル、アフリカ6か国、東ティモールなど。ヨーロッパ・南米・アフリカ・アジアの4大陸に分散。
スペイン語とポルトガル語は、ともにラテン語から生まれたロマンス諸語です。語彙の共通点が多く、その類似度は約9割に達するという研究もあります。
そのため片方を学ぶと、もう一方の文章もある程度は理解しやすくなります。2言語をまとめて視野に入れたい方にとって、ポルトガル語は効率の良い入り口になるでしょう。
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まとめ
ポルトガル語を使う国は、4大陸にまたがる公用語9か国を中心に世界へ広がっています。話者の約8割をブラジルが占め、アフリカの人口増を背景に、将来の話者数はさらに伸びると見込まれます。
日本国内でもブラジル出身の人々を中心に需要が続き、私たちにとって意外と身近な言語です。スペイン語とのつながりも深く、学べば世界の見え方が大きく変わります。気になった今こそ、ポルトガル語の世界へ一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
ポルトガル語を学んだら、どの国で使いたい?
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