Chapters
- 01. 調律には調律師のサービスが必要?
- 02. ピアノの調律に必要な道具
- 03. ピアノ調律のステップ
“俳優とピアノは似ている。ピアノが調律を必要とするのと同様、俳優も調子を整える必要がある。ただし、どちらもたたきすぎてはならない。” — Monica Bellucci
俳優は役を適切に演じなければなりませんが、ピアノは音が正しく出なければなりません。その意味で俳優とピアノは似ています。
アップライトピアノでもグランドピアノでも、適切なツールとそれらのツールを適切に使える技術がなければ、調律はできないように思えるでしょう。
湿度や温度変化はもちろん、ピアノの移動や、買ってからどれほど経つかといった要素が、新品中古を問わずピアノの音を狂わす要因になります(ピアノはすぐ音が狂います)。しかし、購入時にはこれらのことがさほど検討されていないのが現状です。
一般的に、ピアノの調律は調律師に依頼するものだと考えられてます。
しかし、自分でピアノの調律をすることは十分に可能です。ただし、音楽のトレーニングを受けた経験がないピアノ初心者の場合は、特に注意しながらおこなう必要があります。
スタインウェイ、カワイ、ヤマハ、クラビノーバ、ディスクラビアアップライト、ベヒシュタイン、小型グランドピアノ、スピネットなどピアノには様々な種類がありますが、新品、中古、修復済みか否かに関わらず、調律には時間と忍耐力、機敏性、練習、適切な道具、そして何より絶対音感が必要になります。
自分で音叉の役目をするというわけです。
この記事では、ピアノ初心者の方向けに、ピアノを自分で調律するのに役立つ情報をご紹介します。
調律には調律師のサービスが必要?
Web 2.0 のこの時代、調律などのタスクには専門家の助けが必要なくなってきています。
オンラインでチュートリアル、動画、専門サイト等を見れば、自分であらゆることができるからです。インターネットを使えば無料でフランス語や中国語、アラビア語、料理や編み物、ヨガ、配管工事、車の修復など様々なことを学べるのです。

ウェブサイトを検索して、どのようなリソースがあるか見てみましょう。必ずしも絶対調律師を呼ぶ必要はないのです。
しかし同時に、自分で調律するには絶対音感、ハーモニーやオクターブ、ピアノのコードに対する深い理解、そして実践的ノウハウが必要になります。
自分でピアノを調律するには、調律師のサービス料を節約できるということ以上に、かなり個人的な時間と労力がかかることを覚えておく必要があります。
まず、必要な道具を買う必要があり、安くはありません。そして、220本の弦と88個の鍵盤を調律するのには時間がかかるため、目に見えない費用として積もっていきます。
プロのピアノ調律にかかる費用は、13,000円から18,000円程度です。
ピアノ初心者の場合、3時間以上かかるでしょう。音程や、メジャーコード/マイナーコード、1度や3度、根音(ルート)、サード、フィフス、セブンス、ナインスといった音楽理論をマスターしなければなりません。しかし、こういったことの習得はよいトレーニングになります。
ピアノの先生オススメのアドバイス?ピアノの調律師にお金を払い、そういった理論や知識を教えてもらうのはどうでしょうか。ある意味、調律師からの個別指導とも言えるでしょう。
ピアノの習得にオススメの方法もこちらでご紹介しています。
ピアノの調律に必要な道具
ピアノの調律はギターのチューニング方法とは異なります。ピアノには220本の弦と88個の鍵盤がありますが、ギターには通常6本、多くて12本の弦しかないからです。
ピアノの調律はなかなのチャレンジですが、この課題に挑むには、近くの音楽専門店で専用の調律用具を購入するのがよいでしょう。
自作の道具は使用しないでください。

調律師は、調律用道具の使い方や調律方法を数年かけて訓練し、身につけます。
専用のチューニングハンマーやスクリュードライバーを使わないと、ピアノの内部やチューニングピンを傷つけてしまうことがあります。
以下は、初心者が音楽専門店でピアノ調律用に買うべき道具です。
- 時間(実体はありませんが)!チューニングピンを調整するには、注意深い作業が必要。
- クロマチックチューナー:音叉より良い。電子チューナーだと周波数440Hzにより近い形で合わせることができます。
- 音叉
- 調律チャート
- チューニングハンマー:ピアノのチューニングピンを回し、調整するための道具。ソケットが交換できるものを選びましょう。
- ウェッジ:調律の時に出したくない音を消すための道具。ゴム製やフェルト製のものがある。
- プラスチッククランプ:二つの弦を同時にミュートするために使用。
- ピアノの内部を照らす明るい照明。
上記すべてのものがそろったら、ピアノの調律の準備を始めます。
ピアノの即興演奏の方法についてもご紹介しています。
ピアノ調律時の注意点
調律においては従うべき注意事項があります。それらを守らないと、けがをしたり、チューニングピンや内部の構造、あるいは弦を傷めたりといった危険があります。

以下に注意事項をいくつかご紹介します。
- ピアノを入手したら、日光、湿度、あらゆる種類の熱源、暖房器から離して置きます(業者にピアノの移動を頼むと高くつくことがあるため、最初に運ばれてきた時に適切な置き場所を決めておきましょう)。
- ピアノを置いた部屋をきれいにして、窓とドアを閉めますー音や人の邪魔が入らず、ピアノに集中できる環境を整えます。
- けがを防ぐため、手袋をはめますーピアノのフレームや構成部分に使われているメタルが鋭く、手を切ってしまうことがあるためです。
- 調律をする前に、弦の間にウェッジを差します。響板の方を見て作業をします。
- 弦を触りすぎないようにしましょう。稀ですが、古い中古ピアノの場合や、弦がぴんと張りすぎている場合は切れてけがをしてしまうことがあります。
- ハンマーやチューニングピン、ダンパー、内部構造を傷付けることのないよう注意してください。
- 集中して機敏に作業をしましょう。ただ急いで作業をするのは逆効果です。焦って速く調律しようとすると、調律した弦の音が正しくないことがあります(例えば、ラのシャープとすべきところをラのフラットとするなど)。
- チューニングピンを回す方向に気をつけましょう。音を上げるには右、下げるには左です。
- どの弦を調律しているのか常に意識しましょう。
これらのことに注意すべき理由
ピアノの調律には穏やかな姿勢で臨むことが必要であるため。また、音と音の間隔はとても小さいことがあり(そのために調律チャートが必要)、それらの音を完璧に整える必要があるためです。
ピアノの習得におすすめの本もご紹介しています。
ピアノ調律のステップ
調律に必要な要素が揃ったところで、実際に作業を始めます。

調律の10のステップ
- ダンパーペダル(右側のペダル。音を持続させるためのもの)を押します。同じ作業を繰り返してから、弦の間にウェッジを差します。
- ウェッジ2つ、または、プラスチッククランプで調律する音以外の近くの弦を固定します。
- 中央のラの音をA440に合わせてピッチを決めます。
- 1音に対して3本張られた弦のうち、真ん中の弦をまず調律します。ある程度強い力をかけてやさしくチューニングピンを回します。
- ダンパーペダルを離して(響板の弦が振動しないように)、鍵盤を強めに押して音を出します。
- クロマチックチューナーを使い、音が高すぎないか低すぎないかを確認します。
- この方法で鍵盤の真ん中のこのオクターブ内の音をすべて合わせます。
- 次に高いオクターブ、その後下のオクターブに移ります。
- 調律したオクターブの音を、別のオクターブの音と比較します。低音のミとミのシャープでは、低音のミとファやソのシャープが出てはなりません。
- 耳で聞いて、続くオクターブを調整します。
アドバイス
弦をきつくして音の調性を変える前に、少しだけ緩めましょう。こうすれば間違えた場合でも、弦が張りすぎて切れる恐れがありません。
音を調律するときには鍵盤を強く押しましょう。調律時に押す力が弱すぎると、後で強く押して弾いたときに音が狂う場合があります。
最低でも3か月に一回、すなわち、一年に4回ピアノを調律することを勧める専門家もいます。
また、2か月に一回、1本または2本の弦を調整するよう勧める専門家もいます。
どのような頻度で調律するにしろ、「正確かつ質の高い音に調律するには正確さが鍵」となります。
大人がピアノを習得する方法についての記事も読んでみてください。
ピアノの弦が切れることはあるの?
とても稀ですが、時にピアノの弦が切れることがあります。弦が摩耗している古い中古ピアノの場合は、特にその恐れがあります。
チューニングピンを右に回しすぎると、弦が張りすぎて切れてしまいます。弦の張りが強くて切れると、手や顔に当たりけがをしてしまうことがあります。
気を付けてください!
もしそのような事になったら、ピアノの専門サービスに委託しましょう。
できる限り自分で対処したいという人は、オンラインで弦の交換方法を調べてみてください。
これは、時間と繊細さが要求される作業になります。
ギターのチューニングでは、6本の弦を替えるだけですぐに音が狂います。
ピアノの場合も同様です。音を狂わせないようにするためには、ピアノを何度も何度も弾きましょう。
ピアノを迅速に習得する方法についても読んでみてください。
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