「ノーベル経済学賞って結局どんな賞で、これまで誰が受賞してきたの?」と気になったことはありませんか?結論から言うと、ノーベル経済学賞は1969年から2025年までに57回、99人へ授与され、フリードマンやナッシュ、カーネマンといった著名な学者が名を連ねてきました。
ただし日本人受賞者はいまだにゼロで、その理由や有力候補にも関心が集まっています。この記事では、歴代受賞者の一覧と各受賞の内容、2025年の最新受賞、そして日本人候補までをまとめて解説します。経済学の知識がなくても読み進められるので、気軽にチェックしてみてください。
ノーベル経済学賞とは?

ノーベル経済学賞とは、経済学の分野で優れた業績を上げた研究者に贈られる国際的な学術賞です。正式名称や選び方、賞金の面で、ほかのノーベル賞とは少し異なります。まずは賞の全体像から押さえていきましょう。
正式名称と歴史
ノーベル経済学賞の正式名称は「アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞」です。1968年にスウェーデン国立銀行(リクスバンク)が、創立300周年を記念して設立されました。
第1回の授賞は1969年で、ノルウェーのラグナル・フリッシュとオランダのヤン・ティンバーゲンが選ばれました。経済の動きを数式で表す動学的モデルを開発し、応用した功績が認められたのです。経済学の基礎を築いた歴史的な研究として、今も語り継がれています。
受賞者の選考プロセス
受賞者は、物理学賞や化学賞と同じスウェーデン王立科学アカデミーが選びます。世界中の研究者から推薦を募り、専門委員会が長い時間をかけて審査します。
推薦の締め切りは毎年1月31日です。候補者の名前は公表されず、選考に関する記録は50年間も非公開とされます。1つの賞を分け合えるのは最大3人までといった決まりもあります。
賞金と授賞式
賞金は1回あたり1,100万スウェーデンクローナ(約1億6,000万円)です。ほかのノーベル賞5部門と同じ金額ですが、経済学賞の賞金だけはノーベル財団ではなくスウェーデン国立銀行から支払われます。
授賞式は、アルフレッド・ノーベルの命日にあたる12月10日にストックホルムで開かれます。スウェーデン国王の手から、メダルと賞状が直接贈られる名誉高いものです。
ノーベル経済学賞|歴代受賞者一覧
1969年〜2025年
ノーベル経済学賞は、これまで数多くの経済学者に贈られてきました。歴代の受賞者と受賞理由を、年代順にまとめて確認しましょう。
1969年〜2000年の受賞者
20世紀の受賞者には、現代経済学の土台を築いた大物がそろっています。2000年までの受賞者は次のとおりです。
| 受賞年 | 受賞者 | 受賞理由 |
|---|---|---|
| 1969 | フリッシュ・ティンバーゲン | 動学的モデルの開発と応用 |
| 1970 | ポール・サミュエルソン | 経済理論の科学的な発展 |
| 1971 | サイモン・クズネッツ | 経済成長の実証分析 |
| 1972 | ヒックス・アロー | 一般均衡理論と厚生理論 |
| 1973 | ワシリー・レオンチェフ | 産業連関分析 |
| 1974 | ミュルダール・ハイエク | 貨幣と経済変動の理論 |
| 1976 | ミルトン・フリードマン | 消費分析と貨幣史 |
| 1978 | ハーバート・サイモン | 組織における意思決定 |
| 1979 | シュルツ・ルイス | 開発経済学への貢献 |
| 1981 | ジェームズ・トービン | 金融市場の分析 |
| 1986 | ジェームズ・ブキャナン | 公共選択論 |
| 1987 | ロバート・ソロー | 経済成長理論 |
| 1991 | ロナルド・コース | 取引費用と所有権 |
| 1992 | ゲーリー・ベッカー | 人間行動の経済分析 |
| 1993 | フォーゲル・ノース | 経済史の研究 |
| 1994 | ナッシュ・ハーサニ・ゼルテン | 非協力ゲームの均衡分析 |
| 1998 | アマルティア・セン | 厚生経済学への貢献 |
| 1999 | ロバート・マンデル | 最適通貨圏の理論 |
| 2000 | ヘックマン・マクファデン | ミクロ計量経済学 |
2001年〜2025年の受賞者
2001年以降は行動経済学や貧困、金融危機など、私たちの生活に近いテーマが目立ちます。近年の受賞者は次のとおりです。
| 受賞年 | 受賞者 | 受賞理由 |
|---|---|---|
| 2001 | アカロフ・スペンス・スティグリッツ | 情報の非対称性 |
| 2002 | カーネマン・スミス | 心理学と実験経済学 |
| 2003 | エングル・グレンジャー | 時系列分析 |
| 2004 | キドランド・プレスコット | 動学的マクロ経済学 |
| 2005 | オーマン・シェリング | ゲーム理論による対立と協調 |
| 2006 | エドムンド・フェルプス | マクロ経済政策の分析 |
| 2007 | ハーヴィッツ・マスキン・マイヤーソン | メカニズムデザイン理論 |
| 2008 | ポール・クルーグマン | 貿易と経済活動の立地 |
| 2009 | オストロム・ウィリアムソン | 経済ガバナンスの分析 |
| 2010 | ダイアモンド・モーテンセン・ピサリデス | サーチ理論 |
| 2011 | サージェント・シムズ | マクロ経済の因果分析 |
| 2012 | ロス・シャープレー | 市場設計とマッチング理論 |
| 2013 | ファーマ・ハンセン・シラー | 資産価格の分析 |
| 2014 | ジャン・ティロール | 市場支配力と規制 |
| 2015 | アンガス・ディートン | 消費と貧困と福祉の分析 |
| 2016 | ハート・ホルムストローム | 契約理論 |
| 2017 | リチャード・セイラー | 行動経済学 |
| 2018 | ノードハウス・ローマー | 気候変動と技術革新 |
| 2019 | バナジー・デュフロ・クレマー | 貧困削減の実験的手法 |
| 2020 | ミルグロム・ウィルソン | オークション理論 |
| 2021 | カード・アングリスト・インベンス | 労働経済学と因果推論 |
| 2022 | バーナンキ・ダイアモンド・ディビッグ | 銀行と金融危機 |
| 2023 | クラウディア・ゴールディン | 女性の労働市場の研究 |
| 2024 | アセモグル・ジョンソン・ロビンソン | 制度と国家の繁栄 |
| 2025 | モキイア・アギヨン・ホーウィット | イノベーション主導の経済成長 |
歴代で特に有名な受賞者と受賞理由
歴代のノーベル経済学賞者の中でも、特に有名な人物を取り上げていきましょう。研究テーマを知ると、ニュースや日常の出来事の見え方も変わってくるはずです。
- ミルトン・フリードマン:1976年に消費分析や貨幣史の研究で受賞しました。お金の量が物価や景気を左右すると説く「マネタリズム」の代表的な学者です。物価が上がり続けるインフレとデフレの仕組みを語るうえでも、避けて通れない人物だといえます。
- ジョン・ナッシュ:1994年にゲーム理論の研究で受賞しました。相手の出方を読み合う状況で、たがいに最適な選択が落ち着く点を示した「ナッシュ均衡」で知られています。その波乱に満ちた生涯は、映画『ビューティフル・マインド』にも描かれました。
- ダニエル・カーネマン:2002年に心理学を経済学へ取り入れた功績で受賞しました。人は必ずしも合理的に動かないと示し、行動経済学という分野を切り開いた人物です。いまでは、マーケティングや投資などビジネスの現場でも応用が広がっています。
- ポール・クルーグマン:2008年に貿易と産業立地の研究で受賞しました。なぜ似た国どうしが同じような製品を貿易し合うのかを、新しい理論で説明したのです。新聞のコラムニストとしても活躍し、一般の読者にもなじみ深い経済学者です。
- クラウディア・ゴールディン:2023年に女性の労働市場を解き明かした功績で受賞しました。賃金や働き方の男女差が、どのように生まれ変化してきたかを歴史データから分析しました。女性として初めて、単独でこの賞を受け取った人物でもあります。
2025年の受賞者と受賞内容
2025年のノーベル経済学賞は、「イノベーション主導の経済成長の解明」が授賞理由となりました。受賞したのは次の3名です。
- ジョエル・モキイア(米ノースウェスタン大学):技術進歩が持続的な成長を生む条件を、歴史から明らかにしました。
- フィリップ・アギヨン(仏コレージュ・ド・フランスなど):新しい技術が古い技術を置き換える「創造的破壊」を理論化しました。
- ピーター・ホーウィット(米ブラウン大学):アギヨン氏とともに、創造的破壊の数理モデルを構築しました。
賞金の半分をモキイア氏が、残りの半分をアギヨン氏とホーウィット氏が分け合います。技術革新が成長の原動力になるという視点は、AIが急速に広がるいまの社会とも深く重なります。
新しい技術が既存の産業を塗り替える創造的破壊は、資本主義と社会主義の違いを考えるうえでも欠かせない論点です。市場のしくみへの理解が深まると、受賞研究の背景もより立体的に見えてくるでしょう。
ノーベル経済学賞は「ノーベル賞ではない」?

「ノーベル経済学賞は、本物のノーベル賞ではない」と聞いたことはありませんか?実は、その指摘には正しい部分があります。
ノーベル賞は、アルフレッド・ノーベルの遺言に基づき1901年に始まりました。物理学・化学・生理学医学・文学・平和の5分野が、もともとの対象です。一方で経済学賞は、ノーベルの遺言には含まれていません。ノーベルの死後70年以上たった1968年に、スウェーデン国立銀行があとから設立した賞だからです。そのためノーベル財団自身も、この賞を正式には「ノーベル賞」と呼んでいません。
ただし、選考機関や授賞式、賞金額はほかの5分野とまったく同じです。実質的には「6つ目のノーベル賞」として扱われており、創設をめぐってはノーベルの子孫などから異論が出たこともあります。
ニュースでは「ノーベル経済学賞」と呼ばれますが、正式名称は「アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞」です。厳密には「ノーベルの遺言による賞ではない」と知っておくと理解が深まります。
ノーベル経済学賞の豆知識
ノーベル経済学賞には、思わず誰かに話したくなる記録がいくつもあります。年齢や性別の切り口から見ていきましょう。
最年少と最高齢の受賞者
最年少の受賞者は、2019年に46歳で選ばれたエステル・デュフロです。貧困問題を実験的な手法で研究した功績が認められました。
反対に最高齢は、2007年に90歳で受賞したレオニード・ハーヴィッツです。発表の時点で存命だったため、ぎりぎりで栄誉を手にしたともいえます。
女性の受賞者は3人だけ
99人の受賞者のうち、女性はわずか3人です。
- エリノア・オストロム(2009年)
- エステル・デュフロ(2019年)
- クラウディア・ゴールディン(2023年)
経済学の世界でも、第一線で活躍する女性研究者は着実に増えています。今後、受賞者に占める女性の割合がどう変わるかにも注目したいところです。
故人は受賞できない
ノーベル経済学賞は、生きている人だけが対象です。受賞が決まる研究者が発表前に亡くなっていた場合、その人へ賞が贈られることはありません。
すばらしい業績を残しても、存命でなければ受賞できないのが原則です。研究の評価が定まるまでに時間がかかるぶん、受賞者の年齢が高くなりやすい一因にもなっています。
日本人のノーベル経済学賞は?
ここまで読んで、「日本人は受賞していないの?」と気になった方も多いはずです。結論から言うと、経済学賞だけは、まだ日本人の受賞者がいません。
日本人受賞者がいない理由
ノーベル賞6分野のうち、日本人受賞者がゼロなのは経済学賞だけです。背景には、現代経済学の主流が米国の有名大学に集中している事情があります。

論文を発表し、ほかの研究者に多く引用される、というこの好循環は、米国を拠点とする学者ほど生まれやすいといわれます。
英語で論文を書き人脈を広げる難しさや、日本発の独自理論が比較的少ないことも、理由に挙げられています。
ただし、これは「日本人には無理」という話ではありません。米国の学界で活躍する日本人研究者は増えており、初受賞への期待は年々高まっています。
受賞に最も近い日本人候補は誰?
最有力候補とされるのが、プリンストン大学教授の清滝信宏氏です。金融危機が実体経済を悪化させる仕組みを示した「清滝・ムーアモデル」で、世界的に知られています。
論文の被引用数をたたえるトムソン・ロイターの引用栄誉賞も受賞しており、毎年のように候補へ名前が挙がります。受賞研究の多くは、経済学が日常生活で役立つ場面とも地続きで、日本人初の受賞が現実味を帯びる日もそう遠くないのかもしれません。
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ノーベル経済学賞の受賞研究は、難しそうに見えて、実は私たちの生活やニュースと深くつながっています。「もっと経済の話を理解したい」と感じたら、専門家から直接学ぶのが近道です。
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まとめ
ノーベル経済学賞は、1969年から2025年までに57回、99人へ贈られてきた権威ある学術賞です。フリードマンやナッシュ、カーネマンなど、時代を動かした研究者が名を連ねています。
正式にはノーベルの遺言にない「6つ目の賞」であり、女性受賞者は3人、日本人受賞者はまだ生まれていません。それでも清滝信宏氏のような有力候補がおり、初受賞への期待は高まり続けています。
歴代の一覧や受賞内容をたどると、経済学が社会とどう向き合ってきたかが見えてきます。気になった受賞者がいたら、その研究をきっかけに経済の世界へ一歩踏み出してみてくださいね!
AIで要約





