Chapters
- 01. IELTS とTOEFL ‐2つのテストについて
- 02. TOEFLの開発経緯
- 03. IELTS の開発経緯
- 04. 2つのテストの比較
- 05. 国際標準の試験に向けての学習方法
- 06. オンラインで英語のリソースを見つけるには
- 07. ESOL(第二言語としての英語)コースについて
外国語として英語を学ぶ人がよく迷うのは、TOEFLを受けるべきか?IELTSを受けるべきか?ということ。
英語学習者であれば、「どちらの方が難しいの?」という疑問も生じます。
しかし、試験の難易度に関わらず、英語学習のゴールに合ったテストを選ぶにはいくつかの要素が関係してきます。
IELTS とTOEFL ‐2つのテストについて
TOEFLは、世界中に5000以上のテストセンターがあります。オンラインでの受験が一般的となっています。
IELTSの方は、世界にテスト会場が1000弱あります。面接官と直接英語で会話するテストがあるため、オンラインで受けることはできません。
しかし、インターネットでIELTS に向けた英語練習用の教材が公開されています。
TOEFLの制限時間は4時間です。しかし、画面に表示されるストップウォッチの残り時間が0になる前に試験を終了しても構いません。
IELTSの制限時間は2時間45分です。試験の各セクションはTOEFL よりも短くなっていますが、ライティングは例外で、1時間が設けられています。
下のIELTS について述べた個所でその理由を説明しています。
TOEFLの教材は、北アメリカのアクセントおよびスペリングに対応し、IELTSの教材は、広範な地域(アメリカも含む)のアクセントに対応しています。
どちらも国際的な試験です。IELTSでは、短い回答問題や作文に使う単語のスペリングは、アメリカ英語でもイギリス英語でも構いません。
例えば、FavorとFavour のどちらを使っても大丈夫です。
しかし、アメリカ英語かイギリス英語のどちらかに決めたら、試験の回答では一貫して同じ方を使わなければなりません。アメリカ式とオックスフォード式綴りを混ぜて使ってはなりません。全ての回答が正しくても、ある単語が違う方式で書かれていた場合、不正解になってしまいます。英語の語彙をたくさん覚える方法はこちら。
いくつかの質問にイギリス英語で回答した場合、その後の設問でアメリカ英語を使った場合には不正解とされ、全体のスコアに影響します。
TOEFLの場合は、使う英語の形式が一貫しているかどうかはIELTS ほど重要ではありません。焦点は、統語論と文法にあります。
では、それぞれの試験を深く見ていきましょう。

TOEFLの開発経緯
背景
1960年代、海外へ比較的簡単に渡航ができるようになるにつれ、アメリカのカレッジは、しっかりとした英語力がないまま教育を受けに海外からやってくる学生数の増加という問題に直面しました。
そのため、政府と民間の経営陣から成る国家レベルのカウンシルが招集され、教育を受けにアメリカに入国するすべての外国人学生が、授業を理解し参加できるようにすることが目指されました。
TOEFLの初回版は、スタンフォード大学との連携により実施されました。後にカレッジ・ボードが、試験と内容更新の監督を任されます。
進化
最初、試験は従来型のペンと紙を持った方式で、教室環境で実施され、試験監督が監督していました。
スピーキングのセクションでは、受験者がブース(部屋)に一人ずつ呼ばれ一連の質問に回答しました。これは、スピーキング能力だけでなく、批判的かつ修辞的思考を問うものでした。
しかし、テストの需要は高かったため、アメリカの大学に入学を望む学生はTOEFLを受けて英語力を証明するのに、ひどい場合で2年間も待たなければなりませんでした。
そこで、CBT(コンピューターでのテスト)が開発されました。これが、全世界の英語学習者に今お馴染みのオンライン試験の基盤となりました。
TOEFLの今
インターネット接続がなかったり、当てにならなかったりする地域を除き、TOEFLはオンラインで厳しく実施されます。
コンピューターに頼っていない世界の地域では、今も紙とペンによる試験を行っており、試験監督と口頭試験の面接官がいます。
1962年に海外学生対象の標準英語試験として開始されたTOEFL は、ノンネイティブの学生が英語圏の大学に入学する前の必須条件となっています。
1980年、TOEFLに並びさらに詳細なテストIELTS が作成され、9年後に世界で実施されるようになりました。

IELTS の開発経緯
IELTSでは2つの試験を提供しています。一つは、職に就きたい移民がイギリスやその他のコモンウェルス諸国に入国する前に、英語の熟達度を証明するために受ける一般的なテスト。もう一つは、アカデミック英語で特にイギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの大学に入学を希望する学生向けのテストです。
背景
当時はELTS(The English Language Testing Service)として知られ、ケンブリッジ英語アセスメント(ケンブリッジ大学の一部門)とブリティッシュカウンシルが提案したものでした。
テストには、ネイティブスピーカーが使う日常英語を反映した内容で、アメリカなど様々な地域のアクセントや方言が含まれていました(スコットランド英語は含まれず)。
また、開始以降、言語習得と英語教育の変化を反映した内容となっています。
進化
実施に困難が生じたことから、ELTS は国際的な内容を含む形で更新されました。それを受け、オーストラリアの大学とカレッジが共同で今の名前をつけました。
更新されたテストには、リーディングとライティングのセクションに違いが設けられました。もともと、2つのセクションは関連性のあるテーマで出題されていましたが、これでは受験者の力を正確に測れないと判断されたためです。
例えば、リーディングのテーマが「オーストラリアでの仕事探し」であった場合、ライティングのセクションでは「オーストラリアで仕事を探す方法」というテーマで書くように出題されていました。
最近ではリーディングとライティングのテーマには別の内容が採用されるようになり、一般的なアカデミック水準(時間調整、回答の長さ、得点の報告など)と一致するようになりました。
今日のIELTS
- IELTS については今も世界中で、紙とペンでの受験形式が採用されており、スピーキングのセクションは対面の面接によって行われています。スピーキングの結果はすぐに算出さます。
- ライティングに関しては、パソコンではなく筆記であるため1時間設けられています。
- IELTS は、アジア圏や中東でますます多くの人が受験するようになっており、受験数は世界で2百万以上に上ります。
2つのテストの比較
リーディング:
TOEFLでは、同じくらいの難易度の4~6のアカデミックな文章を読むことになります。
IELTSでは、アカデミックな教科書や新聞、雑誌から引用された3つの文章を読むことになり、それぞれの文章の難易度は異なります。
ライティング:
TOEFLでは、同じテーマに関するリーディングおよびリスニングを行います。これらの内容は互いに相反する場合もあり、なかなか厄介です。そのテーマに関する文章を書き、理解度を示すことが求められます。
IELTSでは、1時間の筆記試験が行われ、以下の内容が含まれます。
- 表やグラフの意味の理解
- あるテーマに関する意見の主張
リスニング:
TOEFLの設問ではアカデミックな内容がベースになっています。例えば、インフォーマルな会話ですら、図書館員と学生の会話という設定です。全て選択式の設問です。
IELTSには4つのセクションがあり、社会的なシチュエーションでのやり取りや、アカデミックをテーマにした会話が含まれます。質問の種類は様々で表の空欄を埋める問題があったりします。
スピーキング:
TOEFLでは、パソコンに向かって英語を話す課題が課されます。話した内容は録音され、流暢さや正しい英語フレーズの使用を、後に審査員が評価します。
IELTS のテストは3つのパートから成り、最初に自分の育った町や趣味、英語力を伸ばす方法についてなど馴染みあるテーマについて話します。残り2つのパートは、もっと厳しいテーマになります。

その他の比較
TOEFLもIELTS も合格・不合格で結果が出るわけではありません。教育機関では、外国人学生の入学条件としてこれらのテストに独自の最低点を設けています。
TOEFLは4技能熟達度の得点による評価で、IELTSでは一定の得点枠にゆるく対応したバンドスコアで評価されます。
TOEFLはアメリカで開発され、その後もアメリカでのみ管理され続けています。IELTSはもとはイギリスで開発されましたが、国際的に通用する試験にするために、他国からの意見を求めて更新されてきました。
どちらの試験も国際対応しています。つまり、TOEFLはイギリスでも英語力を証明するものとして認められ、IELTSの方はアメリカの大学に入学するために使用できます。
しかし、アメリカの教育機関はアメリカの試験を好む傾向があり、イギリスやコモンウェルス諸国ではIELTS の方が好まれます。
国際標準の試験に向けての学習方法
目的をもって始めるースティーブン・コビー
これは、自分に合ったテストを選ぶ際に有効な考え方です。
もし、最終的な目標が海外留学であれば、最初に入学したい学校を決めるか、少なくとも行きたい国を決める必要があります。
イギリスに行きたい場合は、イギリスではIELTS が好まれますので、イギリス英語に流暢になれる英語レッスンを探しましょう。
イギリス英語の力をアップさせるには、以下がお勧めです。
- 教科書以外にも、様々な種類の読み物を読む。
- IELTS では、イディオム、社交的な場面での人との会話、政府関係者に話すシーンなど、様々な面での英語理解力が問われます。
- 様々な英語を聞く。
- IELTS は国際的な試験なので、様々な種類のアクセントや方言を理解できる能力が問われます。
- 語彙は分けて覚える!
- 第二言語として英語をカリキュラムに含めている大体の学校では、イギリス英語とアメリカ英語を混ぜて教えています。違う種類の英語のスペリングを使ってIELTS で点を損なわないように、イギリス英語を集中して覚えましょう。
- ライティングの練習をする
- IELTS には手書きのセクションがあります。読みやすく、スペルミスのない文章を書けるようにしましょう。

オンラインで英語のリソースを見つけるには
英語学習教材を探している場合、インターネットでいくつもの試験準備サイトを見つけることができます。
以下のサイトは、試験準備には特に関係していないものもありますが、お勧めです。
ブリティッシュカウンシルのサイトには、日常で使う英語を学べるポッドキャスト、クイズ、読解教材などが掲載されています。
IELTS 学習用の専用ページもあります。
BBCのサイトには、英語学習用のページがあり、いろいろなコンテンツが載っています。
試験の準備には、IELTS の過去問題を無料で受けてみるとよいでしょう。
最後のアドバイス。どちらの試験を受けるにしろ、高得点獲得だけを目標にして学習するのはやめましょう。
知識の追求は、それを手に入れることよりも価値があるーアルバート・アインシュタイン
矛盾することのように聞こえますが、言語習得は学問的なプロジェクトというよりは知識の畑を耕すようなことなのです。
手のかかる庭や子供、高齢者の世話をするように、言語学習にも熱意や思い入れ、コミットメントが必要です。
IELTSではランダムな質問やエッセイ課題が出題され、棒暗記が役立たないようになっています。
従来型の試験準備では、IELTSには対応できません。というのは、一つの面での熟達度というよりは、英語の流暢さが測られるテストだからです。
ただテストでよい得点を取るために英語をマスターすることより、英語に流暢になるという大きな目的をもった方が良いでしょう。
ESOL(第二言語としての英語)コースについて
ESOL(英語を母語としない人のための英語)は、アカデミックな面での標準的な試験ではありません。
このテストは、アメリカ以外の英語圏の国に移民として移住し、働いたり、新しく生活をスタートする人を対象としています。
試験では、英語のすべての技能についての熟達度が測られますが、問題の内容は生活をとりまく内容です。
買い物、医療、市役所での対応などが、このイギリスのLife in the UKのテストで出題されます。
イギリスの市民権を獲得したいなら、最低英語の熟達度レベル3以上が必要です。難しければ、オンラインの英語レッスンを受講して、その後に再受験するとよいでしょう。
IELTSもTOEFL もESOL もそれぞれが頭字語ですが、基本的には同じことを意味しています。
これらのテストで英語力を証明することで、仕事や収入面でのチャンスが開かれるのです。
仕事のために英語を学ぶことは、人生を豊かにしてくれます。映画を通して英語を学ぶこともできます。
英語を学び始めたら、公式なテストを受ける前にクイズで自分のレベルをチェックしてみましょう。
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